身幅が広く最大部42mmで、刀身のグラインドがフルフラットに近い、セイバーグラインドです。
エッジラインは、ストレートエッジに近いが、中央部が少しだけ、ゆるやかな弓なりに窪み、内ぞりになっています。
スエッジ部のグラインドが、スパインの中頃(2/3以上)まで削られ、刃先が軽く作られていて、大きさの割にブレード操作の、しやすいバランスです。
ブレード側面にS600と、反対側にCRYOGENICクライオジェニック(サブゼロを超えた、マイナス196度以下の極低温処理のこと)64HRCの文字があります。
ハンドルはボルト一本外せば分解でき、メンテナンスが簡単です。
ボーラーS600鋼の組成は、(%) C 0.9 Si 0.2 Mn 0.4 Cr 4.1 Mo 5.0 V 1.8 W 6.5 です。
一般に広く使われる高速度工具鋼(モリブデン系のハイス鋼)で、優れた靱性と高い硬度が特徴です。
Crクロムは4.1%なので、ステンレス鋼の13%以上には遠く及ばず、メンテナンスを、しっかりしないとサビると思います。
ボーラー社の諸元表を見ると、硬度はHRC64~66となっていますが、エストレイマのカタログ公表値はHRC64で、熱処理の具合により幅があるのだが、エストレイマでは他の鋼材も控えめの数値であり、信頼できる値だと思います。
硬度は青紙鋼に匹敵するのだが、炭素量を見ると0.9%と、そんなに多いとは言えない。(実はC炭素は1.0%までは、やや比例的に硬さが増すのだが、1.0%を超えたあたりから、ゆるやかに増すだけとなり、2.0%を超えると、もはや鋼とは言わず鋳鉄となってしまう。)
注目すべきは、Wタングステン、Vバナジューム、Moモリブデンの添加元素の量の多さだ!!
元素が鋼に与える影響は、他の元素と組み合わさることで、さまざまな特性をもたらす。(C炭素とWタングステンが化合した、炭化タングステン[タングステンカーバイト]は非常に硬く、ダイアモンドに次ぐ硬さです。)
高い硬度と、優れた靱性を合わせ持つ鋼は期待でき、使い込んでから、後日、改めて御報告したい!!
ショップは、いつも迅速で丁寧な対応ありがとうございます。
総評: 5.0 (1件)